恋蛍 -honowa 12の物語-
ホタル(設楽町津具~豊根村付近)
写真撮影:坂本健太郎様
私の好きな昔の言葉で
「恋蛍」
というものがある。
「自分の身を焦がすほどに相手を思う」
という意味である。
ホタルは何故光るのか?
生物学的には、
雄の雌に対する求愛行動である。
人間に例えると、
愛し合うために光るということだ。
設楽町の津具で
ホタルについてよく知っている
村松豊太郎さんと
会うことができた。
ホタルの専門家ではない村松さんは
あることがきっかけで
ホタルについて勉強を始めることになる。
平成元年(1992年)頃、
村松さんは津具村役場の職員だった。
氾濫がたびたび起こる
河川の工事を
県から改修計画の案が示された。
工事なんてすれば
ホタルが死滅してしまうのではないかと心配する
愛好会のグループより声が持ち上がる。
行政の立場として、
氾濫の危険がある河川を看過することはできない。
しかし、村松さんもまた、
ホタルを愛する人間の一人だ。
村松さんが導き出した答えは、
「工事し、かつホタルを守る」だった。
元々こだわる性分だった
村松さんはその日から、
ホタルについて熱心に勉強をした。
先駆者である
岡崎のホタル学校名誉会長である
古田忠久氏にも教えを請い、
「ホタルの里」を作るという
アイディアにたどり着き、
企画課が中心となり事業を実施した。
人口を水路を作り、
そこへゲンジボタルの餌となる
川ニナを放流した。
水質を守り、環境を整える。
村松さんが子どもの頃、
ホタルは身近にあたりまえに
存在していた。
戸を開けておけば、
自然と入ってくる
ありふれた生き物。
種類も知らず、
その光に見入っていた。
最近は地元の商工会が中心となって
観賞会が開かれるようになってきた。
村松さんは今年もお孫さんとホタルを見に行く。
今年は何匹いた。
どこどこにはいなかった。
あそこにはたくさん出てくるかもしれない。
津具の人たちが
ホタルについて話すとき、
大人もまるで
少年少女のような純粋さが
見える気がした。
津具以外にも、
豊橋市小学校などで
子どもたちがホタルを
放流する活動が続いている。
これからも世代を超えて、
ホタルたちの恋を
見守っていくだろう。
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