◆宝石のお話◆サンゴ・珊瑚(コーラル)Coral
サンゴ(珊瑚)
3月の誕生石としても有名な
サンゴ(珊瑚、英語ではCoral「コーラル」と言います)は、その美しい色と艶やかさが魅力で、古くから人々に愛されてきた宝石です。
赤やピンク、白、オレンジなど多彩な色があり、ジュエリーとしても非常に人気があります。
この記事では、サンゴの特徴や歴史、そしてジュエリーとしての魅力についてご紹介します。
「サンゴ」というと美しい海に生息する珊瑚礁を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
基本的には近いものと考えていいと思いますが
厳密には別種で、
また「サンゴ」は一つ一つの生物、または群体を指し、
それが積み重なって作る地形を「サンゴ礁」というそうです。
サンゴ(珊瑚)の特徴
ですので、サンゴは宝石といってもダイヤモンドのような鉱物・鉱石とは異なり、
天然の生物が形成した「宝石」ということになります。
宝石はほとんどが「石」ですが生物由来、たとえば真珠やアンモライトなども宝石と呼ばれています。
この海に生息する小さな生物が石灰質を分泌して「骨格」を形成します。
年月を経て、サンゴ礁や宝石用のサンゴとして私たちの目に触れる形になるのです。
サンゴの主な特徴
1.多彩な色合い:サンゴは赤、ピンク、白、オレンジなど幅広いカラーバリエーションを持っています。
特に、深い赤色のものは「血赤珊瑚(ちあかさんご)」と呼ばれ、高品質なものは非常に高価で珍重されています。
2.特異な性質:硬い宝石とは異なり、サンゴは軽くて柔らかいため、加工がしやすいことから細かい彫刻が施されてジュエリーやアクセサリーとして人気があります。
3.自然の温かみ:サンゴは自然由来のため独特の優しい色合いと温かさを感じる宝石です。そのため、日常使いから特別な日のジュエリーとして幅広く活用されています。
サンゴの歴史:古代から愛される理由
サンゴは何千年もの間、人々に愛されてきました。 遺跡から珊瑚が発掘されていたり、
特に地中海地方やアジアでは、その美しさと神秘的な力が人々を魅了してきたのです。
- エジプトやローマ:古代エジプトや古代ローマではサンゴが「お守り」として大切にされてきました。
- 日本:日本でも古くから、サンゴは「魔除け」として大切にされ、特に赤いサンゴが神聖視されてきました。 結婚35周年を祝う「珊瑚婚式」という言葉もあるように、長寿や華やかさを象徴する宝石として親しまれています。
地中海や紅海などからシルクロードを渡ってアジアに届き、中国や近隣諸国を経由して、
仏教伝来と共に日本に入ってきたと言われ、当時の天皇に献上されたそうです。そして主に「輸入品」だったサンゴですが、江戸時代末期から明治にかけて日本産のサンゴが歴史の表舞台に姿を現します。
ジュエリーとしてのサンゴ(珊瑚)
サンゴは、リングやネックレス、イヤリング、ブローチなど、様々なジュエリーに加工されています。
他の宝石と比べて、軽くて身に着けやすいので、長時間身に着けても負担になりにくいです。
また天然の色と質感をもっているため一つ一つ個性があります。
元々は海のお守りであった珊瑚ですが、赤い色彩と「産後」と同じ言葉の響きから
特に女性の御守りの印象が近年は強いように思います。
実際にお嬢様への贈り物という方もいらっしゃいます。
サンゴ(珊瑚)のお手入れ方法・注意点
サンゴは他の宝石と比べても、特にデリケートな宝石です。
以下の注意点に気をつけて、大切なジュエリーを長く楽しんでください。
- 水や熱、汗に注意:サンゴは水分や熱、酸に弱いため、入浴や運動の際には外しましょう。
- 柔らかい布でお手入れ:使った後は乾いた柔らかい布で拭き、日光や湿気を避けた場所に保管します。
- 定期的なメンテナンス:お買い求めになられたショップ等でクリーニングやメンテナンスを定期的に行いましょう。
3.5~4と硬度が低いので超音波洗浄機は使用しないでください。 - 保管方法:サンゴに限ったことではありませんが柔らかい宝石が硬い宝石や金属といっしょに保管すると傷がつくことがあります。個別に保管してください。
サンゴと環境のためにできること
サンゴ、サンゴ礁は地球の重要な生態系のひとつです。
現在、気候の変動や環境破壊の影響でその多くが危機にさらされています。
また違法な乱獲もあると業界では危惧されています。
サンゴのジュエリーを選ぶ際にはお近くの信頼できるお店から購入してください。
環境に配慮した方法で採取されたサンゴを選ぶことは、自然を守りながらその美しさを楽しむことになります。