水上ビル（豊橋市）

水上ビル－空を眺める―

屋上からの眺めはとても清々しく、

そして空の広さと比べて、自分の悩みの小ささを知る。

水上ビルを「上から」見ることはおそらくほとんどの人は経験がないだろう。

私もその一人だ。

しかし、出会ったばかりのある人物によって、

この日、私は空の広さを知ることになる。

その人物とは

平日は会社員として働きながら、

土日にレンタルスペースFarmersを運営する木村和明さん。

埼玉県から移住した彼の言葉からは、「豊橋が大好きだ」ということが溢れてくる。

おそらく、ここに住んでいる人の大半は同じ思いが

多かれ、少なかれあると思う。

成功するための、いや正確には失敗しないための完璧な準備をしてから行動に移そう。

しかしこの人物はそうは考えず、まず動いてみせる。

思っているだけでは誰にも伝わらない。

行動を起こすことによって、人に伝わる。

それによって、ひとりでも自分のようにこのまちを好きになってくれる人がいれば嬉しい。

そんなシンプルな想いで。

自分の手で内装のリノベーションを行う。

休日などない。

たしかに大変なことではあるが、とても楽しいと言う。

楽しいからこそ、続けられる。

「自分が嬉しい、楽しい、と思っていないと

人にその気持ちは伝わらないですよね。」

逆にやらされている、つまらないと思っていると

その感情は人に伝わる。

私にとって、その言葉は耳が痛いが、その通りだと思った。

忙しい、時間がない、ということを言い訳にして

何も行動を起こしていない自分がいる。

目の前の彼は自分が超えていけない壁をいとも簡単に飛び越える別の生物のようだ。

でも意外だったのは、

「まちのために、と言いつつも

結局は自分が好きだから、楽しいからやっている。」という言葉だった。

人のために、まちのために、世界のために。

よく聞く言葉だが、彼を動かしているのはそんな「大義」ではない。

そして、それが

誰かの「きっかけ」になれば、それでいい。

ひとりひとりが、自分のできる範囲で、想いをつなぐ。

それが大きな輪になってまちを人の暮らしや気持ちを変えていくのかもしれない。

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